神に愛された男・・

　
あの週末、あの瞬間を、僕は決して忘れない・・

１９９４年、４月の末の週末・・
サンマリノＧＰが開催されていたイモラ・サーキット。

　
４月２９日（金）
ルーベンス・バリチェッロの駆るジョーダンが
時速２００キロで、コンクリートの壁に叩きつけられて大破・・
でも、幸いにも彼は、鼻の骨を折っただけで済みます。
　
４月３０日（土）
予選のタイムアタック中の
シムテックのローランド・ラッツェンバーガーが
フロントのウイングを飛ばして、コントロールを失って
ヴィルヌーヴ・コーナーのコンクリートの壁に左側面から叩きつけられて
ほぼ即死でした。
　

　
アイルトンは、この知らせを受け
Ｆ１専属の医師、シド・ワトキンスのもとを訪れ
子供のように泣いた後、引退しろと言うシドの言葉を遮って
こう言ったそうです。
「シド、僕たちがコントロールできないことが世の中にはある。
　だから、僕は走り続けなければならない」
　
５月１日（日）
　
レースのスタートの前に、テレビのインタビューで
解説で訪れていたアラン・プロストに、彼はこう言い残します。
「アラン、君がコースにいなくて淋しいよ」
　
決勝レースは、途中、事故で一時ペースカーが入りました。
　
レースが再開してから、アイルトンは、２番手を走っていたフェラーリの
ミハイル・シューマッハを引き離すことができなくていました。
そして、運命の再開２周目がやってきます・・
　
ゆるやかに左に曲がる、高速のタンブレロ・コーナーで
彼の車は曲がろうとしないで、右側面からコンクリートの壁に激突しました。
　

　

　
神様は、走り屋なのかもしれないですね。
気に入ったドライバーを、みんな連れて行ってしまう・・
　
"God Must Be A Boogie Man" / Joni Mitchell