ルーツ

１８６４年...。
大阪で塩と乾物を商う家に産まれた"由五郎"は
丁稚先の休日の楽しみに、後輩を連れて歌舞伎に通っていました。
　
特に気に入って贔屓にしていたのが、ふたつ年上の人気女形"堀江栄太郎"...。
現在の大阪市北区堂島界隈の大地主の長男なのに腕白が過ぎて勘当されて
好きな芝居で役者稼業をしていたところで由五郎と出逢いました。
　
由五郎と榮太郎、ほどなく気っ風の良さを認め合い
兄と弟のように、光と影のように、お互いを支え合うようになります。
　
由五郎は、この後、建設請負業の会社を興し
元よりの才覚で、日本有数のゼネラル・コンストラクションへと育て上げ
その会社は現在もスーパーと呼ばれる大手５社のひとつに君臨しています。
　
榮太郎は、この後、気っ風と度胸の良さから
"木屋市"こと野口栄太郎として関西一円で侠道で名をはせ
大日本国粋会大阪本部会長として５千人を束ねる大親分になりました。
　
改名した芳五郎の会社は大きく成長する過程で
鳶、土工、大工の３職を名義人という立場に管理させるようになりますが
３職の中でも筆頭である鳶の、そのまた筆頭名義人、支配人的な立場として
すべての管理を"岡野長兵衛"という男が任されるようになります。
　
また、岡野長兵衛の筆頭世話役であった"吉川虎吉"は
榮太郎の子分でもあり、表と裏、光と影の象徴のような存在になります。
　
吉川虎吉には５人の子分がいましたが
百年を超える歴史の中で現存する２軒のうちの１軒がわが家です。
　
また、榮太郎には播磨家に養子にいった"竹次郎"という実弟がいますが
わが家は播磨 (後に絶えてしまいますが) の世話役でもありました。
　
初代が名義をもらって独立してから九十年弱...。
三代目で名古屋に出てきた分家ですけど、五代目が産声をあげようとしています。
僕に残された仕事は、この子を育ててバトンを引き継ぐ事...。
楽しい人生になりそうです... ^^)/